本来法律で定められた相続分よりも極端に少ない権利しか取得できない人に認められた権利が遺留分減殺請求権です。

(回答:弁護士 大澤一郎)

法定相続分について

相続の場合、法定相続分という制度が定められています。現行の民法では、以下のようになっています。

  1. 子供と配偶者が相続人の場合:子供・配偶者共に2分の1
  2. 配偶者と直系尊属が相続人の場合:配偶者が3分の2,直系尊属が3分の1
  3. 配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合:配偶者が4分の3,兄弟姉妹が4分の1
  4. 配偶者だけが相続人の場合:配偶者100%
  5. 子供だけが相続人の場合:子供100%
  6. 直系尊属だけが相続人の場合 直系尊属100%
  7. 兄弟姉妹だけが相続人の場合 兄弟姉妹100%

遺留分について

  1. まず、兄弟姉妹には遺留分はありません。そのため、兄弟姉妹は遺留分減殺請求を行うことができません。
  2. 次に直系尊属のみが相続人の場合、直系尊属の遺留分は本来の法定相続分の3分の1となります。
  3. その他の場合は、遺留分は本来の法定相続分の2分の1となります。おおざっぱな表現となりますが「本来の法定相続分の半分が遺留分として必ずもらえる」ということです。

遺留分減殺請求は自分からしなくてはいけない!

遺留分減殺請求ですが、相続の場合において自動的に遺留分に相当する財産がもらえるというわけではありません。

遺留分に相当する財産について請求をするためには、「遺留分減殺請求」の通知を行う必要があります。

例外もいろいろありますが、原則として、故人がお亡くなりになられてから1年以内という期間制限があると考えておいた方が安心です。

たとえば、遺言書により特定の家族に全財産が行ってしまった場合、遺留分を請求したい人は、遺留分減殺請求をする旨の手紙(配達内容証明付内容証明郵便)を全財産を取得した人に送付する必要があります。

遺留分を請求すると親族間の大紛争となる!

弁護士としての経験上、遺留分減殺請求の通知を一度相手に送付すると、通常は一生口を聞かない位家族仲が悪化します。

相続の際に遺留分減殺請求をする場合には、家族の縁を一切切る位の覚悟で請求をすることが必要です。

また、話し合いでの早期の解決ができることもありますが、大多数の場合には、裁判所での調停や裁判所での民事訴訟までなることが多いので、解決までには相当の期間がかかります。

(文責:弁護士 大澤一郎)


動画で見る相続:遺留分減殺請求権について

(解説:今村公治 弁護士)

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