事案の経緯について
不動産賃貸業を営んでいた夫が死亡。遺言書なし。法定相続分は妻が2分の1,子供がそれぞれ4分の1ずつ。
生前に故人が次男に対して総額5000万円の資金を贈与。内容は次男の自営業である建設業が倒産した際の資金の援助。
故人の妻と長男からの相談で弁護士が代理
事案の概要
亡くなられた方 | 夫・盛茂太朗様(仮名、90歳、千葉県松戸市在住) |
---|---|
相続人 | 妻・盛茂みすず様(仮名、88歳) 長男・盛茂一郎様(仮名、60歳) 次男・盛茂次郎様(仮名、58歳) |
遺産の内容 | 不動産、預貯金、自社株、有価証券、現金 |
解決方法
話し合いでの解決を目指し、弁護士が代理して話し合いの提案をしたものの、次男は法定相続分を受け取ることを主張したために話し合いは決裂。
裁判所に遺産分割調停を弁護士が代理して申立。裁判所の判断は5,000万円の贈与は遺産の先取り(特別受益)にあたるとの判断。
相手が既に5,000万円を受け取っていることを前提とすると、次男の取得分は法律上ゼロ。ただし、1円も渡さないという遺産分割協議は当事者全員が望んでいなかったので、100万円を代償金として次男に渡すことにより他の遺産は全て取得することに成功。裁判所で遺産分割調停成立。
弁護士からのコメント
故人から生前に生計の資本として贈与を受けた場合には特別受益として遺産を先にもらったと評価されることがあります。
全ての贈与について遺産を先にもらったと評価されるわけではなく、遺贈、婚姻のための贈与、養子縁組のための贈与、生計の資本としての贈与を受けた場合に、遺産を先にもらったと評価されます。
遺産を先にもらった相続人がいる場合には、その相続人の取り分は法定相続分よりも少なくなることがあります。
※上記の事例は当事務所で実際にお取り扱いした事例ですが、プライバシー保護のため、事案の趣旨を損なわない範囲で居住地・遺産の額・家族関係等につき事実関係を変更している場合があります。ご了承ください。