事案の経緯について
長男からの相談でした。長男は生前、父と同居していました。通帳等預貯金の管理は原則として父が行っていましたが、父の体調が悪化してからは長男が預貯金の管理をしていました。
父が死亡すると、次男が、通帳の管理をしていた長男が多額の預貯金を無断で引き出ししたと主張し、総額約2000万円の支払いを求める民事訴訟を起こしてきました。
突然裁判を起こされた長男が弁護士に相談をしました。
事案の概要
亡くなられた方 | 父・佐久間正三様(仮名、90歳、千葉県鎌ヶ谷市在住) |
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相続人 |
長男・佐久間春男様(仮名、60歳) 次男・佐久間夏樹様(仮名、55歳) |
遺産の内容 | 預貯金 |
解決方法
預貯金の無断引き出しを理由として訴えられることなど全く長男は予想していませんでした。そのため、その都度領収書を全て保管したり、帳簿を付けたりということをしていませんでした。
そのため、過去に入通院していた病院の領収書の再発行を依頼したり、大きな支出についての領収書の再発行を依頼したり、とにかくたくさん証拠を集めました。
結果的には領収書がない部分についても大幅に当方の主張を認め、ある程度の解決金を支払うことにより裁判所で和解が成立しました。
弁護士からのコメント
故人の預貯金からの引き出しが争点となる事案の場合、一番大切なのは引き出した金銭の使途がわかる領収書等の資料です。資料をどれだけ集めることができるかにより、結論が変わってきます。
細かい支出については領収書が全てないことも多いです。そのような場合には、月間の支出額平均はこのくらいであるという主張をすることにより、裁判官が理解をしてくれることがあります。
預貯金からの引き出しの事案は、遺産分割調停で争う場合と民事訴訟(不当利得・不法行為)で争う場合の2つの方法があります。どちらの方法で争った方が有利かは事案によって異なりますので専門家に相談した方がよいでしょう。
※上記の事例は当事務所で実際にお取り扱いした事例ですが、プライバシー保護のため、事案の趣旨を損なわない範囲で居住地・遺産の額・家族関係等につき事実関係を変更している場合があります。ご了承ください。