事案の経緯について
ご相談者様の母親が亡くなって遺産分割を行うことになったのですが、遺産は土地とその上に建っている自宅があるだけで、その不動産も田舎にあるものなので価値がそれほどあるわけではなく、母親とずっと一緒に暮らしていた三男がその土地建物を取得することになっていました。
しかし、相続人の数が全員で10人と多く、しかも皆様ご高齢であることに加え、各々が別々の地域(北は北海道から南は千葉県)に住んでいたことから、どのように遺産分割協議を進めていくのが良いかというご相談を受けました。
事案の概要
お客様の故人との関係 | 親子 |
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相続人の関係 | 兄弟姉妹 |
遺産の内容 | 土地建物のみ |
解決までの流れ・時間
本件の最終的な目標は、母親と一緒に暮らしていた三男の方が遺産である土地建物を取得し、三男の方の所有権を登記することにありました。
本件では、各相続人が全く別の場所に住んでいたことから、遺産分割協議書を作成せず、全国各地に住んでいる各相続人から、三男の方が遺産である土地建物を取得するという内容の遺産分割証明書を1通ずつ作成してもらい、その書類を用いて相続登記を行いました。
弁護士からのアドバイス
遺産である不動産を遺産分割によって取得し、所有権移転の登記を行うためには遺産分割協議書を作成して法務局に持っていくことが一般的です。
しかし、本件のように、相続人が多数いらっしゃって、かつ各々が遠くに住んでいる場合、すべての相続人が同じ場所に集まって遺産分割協議書に署名押印をしてもらうことが難しくなります。
また、郵送で全ての相続人に遺産分割協議書を回覧して署名押印をしてもらうことも考えられますが、時間がかかってしまうことや紛失のリスクもありますし、内容に不備があった場合に再度回覧することは大変な作業になってしまいます。
そこで、本件のような事案では、遺産分割「協議書」ではなく遺産分割「証明書」を用いることがあります。
遺産分割証明書は、遺産分割協議書のように1通の書面に全ての相続人から署名押印を貰う必要がなく、各相続人が1通ずつ作成し、それらを全て合わせれば、遺産分割協議書と同じ効力を得られるものになります。
遺産分割証明書であれば、全ての相続人に同時に郵送して署名押印してもらうことができるので、手続きとしてもとても便利です。
もっとも、遺産分割証明書は通常代表者(今回であれば遺産を取得する三男の方)のみが保管することが多いので、遺産が複数あり各相続人がそれぞれ相続手続きを行ったりする場合には、遺産分割協議書の方が良いということもあります。
お困りの際はまずは弁護士にご相談ください。
※本事案は当事務所でお取り扱いした事案ですが関係者のプライバシー保護等に配慮し事案の趣旨を損なわない範囲で事実関係を一部変更している箇所がございますのでご了承ください。