事案の経緯について
ある株式会社を創業して代表取締役を務めていた方(Aさん)が亡くなりました。
その株式会社の業務にはAさんの妻及びその間の子が関わっていました。そこで、Aさん名義の株式を妻に移転して代表取締役に就任しようとしたところ、Aさんは生前、婚外子を認知していたことが判明しました。
その婚外子は未成年者でした。そこで、Aさんの妻は、婚外子の母に対して「株式の遺産分割をしたいから相続放棄をしてくれないか。」と要請したところ、婚外子の母は「この子にも権利がある。」と言ってきました。
婚外子に株式を取得されることに対する不安を感じ、Aさんの妻は、弁護士に相談しました。
解決までの流れ・時間
相談を受けた時点で、Aさんが死亡してから2か月半が経過したところでした。弁護士は、まず、Aさんの妻の代理人として、相続人全員について相続の承認放棄の期間伸長の申立てを行いました。
それが認められた後、婚外子の母と交渉を行い、婚外子に対し解決金を支払うとともに、婚外子が遺族年金を取得する手続に協力し、婚外子が相続放棄をすることで合意することができ、解決に至りました。
事案の概要
お客様の故人との関係 | 妻 |
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遺産の内容 | 株式など |
担当弁護士のコメント
- 相続人のうちの1名が、全相続人について期間伸長を求めることができます。しかし、専門家の中にも誤解している人が少なくないように思いますが、相続の承認放棄の期間伸長の申立ては、期間伸長を求める相続人自身がしなければならないと誤った理解をしている人もいます。実際、この申立てを行った後、家庭裁判所は「相続人全員の委任状を提出せよ。」と指示してきましたので、その指示が誤解に基づくものであることを説明することから始めました。期間伸長の申立てを適切に行ったことが、後の解決につながりました。
- Aさんの遺品の中に家族の知らない通帳があり、その通帳から、Aさんは婚外子の母に対して毎月まとまった金額の送金をしていたことが判明しました。このことが判明したとから、婚外子が遺族年金の申請が可能になったのはとても幸運でした。遺族年金の手続に協力することは、婚外子側にとっても大きなメリットでした。この提案をできたことが後の解決に非常に役に立ちました。
- 結果、婚外子が株式を取得することはなく、株式の承継における不安は解消しました。早目の相談をお勧めする理由を裏付ける事案といえます。
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