お困りの問題 : / 担当弁護士 :

事案の経緯について

  1. 生前に高額の借金を作っていた父親が死亡。遺言書はなし。法定相続分は、子3人がそれぞれ3分の1ずつ。
  2. 父親は貸家に住んでおり所有不動産はなし。預貯金もなし。
  3. 父親は生前、複数の金融機関より借入れを行っており、借入残高合計約1,000万円となっている状態であった。相続人の子3人は、生前に父親が債務超過の状態に陥っていることを把握しており、父親が死亡してすぐに相続放棄の手続について、弁護士に依頼したいとご来所。

事案の概要

亡くなられた方 父親 久慈雅夫様(仮名、88歳、千葉県柏市在住)
相続人 長男 久慈英夫様(仮名、65歳)
次男 久慈時夫様(仮名、63歳)
長女 山村英梨様(仮名、60歳)
遺産の内容 不動産や預貯金等はなし
借金が1,000万円

解決方法

  1. 相続放棄には、期間制限があります(相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内)。それまでに、相続放棄に必要な書類の取寄せや申立書の作成を、即時にスタートしました。相続放棄に必要な書類の中には、弁護士が代理で集めることが出来る書類もあるため、ご依頼いただいてすぐに委任状の作成を行い、すぐに弁護士が代理して書類の収集を行いました。
  2. 相続放棄は、家庭裁判所に必要な書類を提出する必要があります。相続放棄に必要な書類を集めた後は、弁護士が相続放棄の申立書類を作成し、家庭裁判所による手続を早期に行いました。
  3. 必要書類に不足が発生することもなく、ご依頼から1か月程度で相続放棄が正式に完了いたしました。

弁護士からのコメント

  1. 上記で述べた通り、相続放棄には期間制限があります。原則として、相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内に、家庭裁判所に相続放棄の申述を行わないといけません。期間制限の起算点は、相続の開始を知ったときからですが、万全を期すためにも、相続放棄は、亡くなったときから3ヶ月と認識しておくと良いと思います。このように、相続放棄には期間制限が設けられているため、相続が発生したとき(被相続人が亡くなったとき)には、早期に相続放棄をするか否か検討する必要があります。
  2. 相続放棄には、期間制限があることに加え、相続放棄に必要な書類を集める必要もございます。必要書類が揃っていないと、相続放棄が認められません。ご自身で必要書類を集められることも可能なので、相続放棄に必要な書類を自分で集めることが可能な方については、ご自身で相続放棄の申述をなされても問題ございません。もっとも、相続が発生した際には、精神的にも身体的にも大変な状態が続いてしまうため、なかなかご自身で必要書類を集めることが困難なこともございますので、そのような場合には、早期に弁護士にご依頼いただくと安心です。
  3. 今回の事案では、プラスの財産がなく、マイナスの財産のみしか残っていなかったため、相続放棄の選択肢の一択でした。仮にプラスの財産が残っているような場合には、財産調査から行う必要が出てきて、相続放棄以外の選択肢を取るべき可能性も生じてきます。これらの調査にも時間を要するため、相続放棄を検討される際には、迅速に行動することがとても大切になってきます。

相続が発生した場合にも、遺産分割手続が全てではなく、様々な解決方法があります。解決のためどのように進めていけばいいか、お気軽に弁護士にご相談いただければと思います。

※本事案は当事務所でお取り扱いした事案ですが、関係者のプライバシー保護等に配慮し、事案の趣旨を損なわない範囲で事実関係を一部変更している箇所がございますのでご了承ください。