最終更新日:2026年10月2日
ご相談までの背景
被相続人である三浦さんは、父を早くに亡くし、結婚することなく長年母と生活されていました。三浦さんのご両親やご兄弟は既に他界されており、法律上の相続人(法定相続人)が一人もいない状況でした。
相談者である金子さんは、三浦さんの母方のいとこにあたる方です。三浦さんとは小さいころから交流がありました。金子さんは、三浦さんから非常に頼りにされており、約14年前に三浦さんが体調を崩して病院に入院して以降、定期的に病院を訪問するなど交流を続けておられました。
| 亡くなられた方 (被相続人) |
いとこ・三浦さくら様(仮名・50代) |
|---|---|
| 相続人 | いとこ・金子明美様(仮名・50代・松戸市上本郷在住) |
| 遺産の内容 | 複数の賃貸不動産(土地)、預金 |
三浦さんに対する金子さんの貢献
三浦さんは相続で複数の賃貸用不動産(土地)を所有していましたが、体調を崩したこともありご自身での管理や借主との契約交渉が困難になっていました。
そこで金子さんは、三浦さんに代わって賃貸借契約に関する交渉を何年にもわたって継続的に行いました。また、空き地になった土地で違法駐車やごみの不法投棄の問題が生じた際には、自作の柵を作るなどの対策を行ったり、定期的な草刈りを行ったりするなどの煩雑な不動産管理業務を、長年にわたり無償で引き受けていました。
さらに、三浦さんが体調を崩して入院を余儀なくされた晩年の数年間は、利用している衣服やタオルのレンタル費用を、金子さんがご自身の資金から援助されていました。
その後三浦さんがお亡くなりになった際も、金子さんは喪主として葬儀や法要を取り仕切り、その費用を負担されました。
2億円を残して三浦さんは他界
三浦さんが遺した財産は約2億円に上りましたが、遺言書がなかったため、このままでは未払い金などの清算を経た後、最終的に残った遺産がすべて国庫に帰属してしまう状況でした。
金子さんは「長年三浦さんの財産維持に貢献し、精神的・経済的な援助も行ってきたので、これまでの貢献に見合う財産を譲り受けたい」と考え、当事務所にご相談にいらっしゃいました。

当事務所の活動
特別縁故者に対する相続財産分与を申立て
本件では、ある債権者が家庭裁判所に対し、「相続財産清算人(※旧・相続財産管理人)」の選任申立てを行い、既に相続財産清算人が選任されていました。
官報公告(国が発行する機関紙に情報を掲載して広く知らせること)等の手続きを経て「相続人が誰もいないこと」が法的に確定したのち、速やかに「特別縁故者に対する相続財産分与申立て」を行うべく、準備をしました。
特別縁故者として認められるための証拠収集
本件で遺産を獲得するための最大の障壁は、金子さんが「被相続人と特別の縁故があった者」に該当すること、およびその貢献度がいかに大きかったかを、裁判所および相続財産清算人に客観的証拠をもって示していくことでした。
弁護士は、金子さんの長年の貢献を示すため、過去の賃貸借契約書や交渉記録、賃借人からの要望書、現地での草刈り作業等を示す書類を整理し、金子さんが三浦さんの財産維持・形成に多大な貢献をしたことを丁寧に主張しました。
また、賃借物件の借主の会社へ弁護士が訪問し、金子さんが賃貸物件の管理をしていたという陳述書の作成にご協力いただきました。
さらに、三浦さんがレンタルしている衣服やタオルの費用を金子さんが自己資金から援助したことがわかる書類や、葬儀費用の資料等を提出し、金子さんが最後まで三浦さんのために尽力した事実を法的な観点から説得力をもって主張しました。

解決結果とポイント
裁判所は当事務所の主張や提出した証拠を全面的に検討し、金子さんが「特別縁故者」に該当することを認めました。また、金子さんが行った不動産管理による財産維持の功績、自己資金からの持ち出し額、遺産の総額などを総合的に考慮し、三浦さんの相続財産から5000万円を金子さんに分与するという内容の審判(家庭裁判所の決定)が下されました。
特別縁故者として財産分与が認められるためには、内縁関係などで「生計を共にしていた」といった事情がない限り、単に「親しくしていた」というだけでなく、生活面や財産維持の面でどれだけ具体的な貢献があったかを、客観的な証拠で裏付けることが非常に重要になります。
本件では、次のような点が多額の財産分与という結果につながりました。
- ① 金子さんが行ってきた不動産管理の記録や経済的負担の証拠が一定程度残っていたこと
- ② 金子さんの不動産賃貸についての貢献をよく知る人から陳述書の作成にご協力いただけたこと
法定相続人でなくとも、亡くなった方のために長年尽くしてこられた方は、遺産を受け取れる可能性があります。複雑な手続きが必要となりますので、お早めに弁護士へご相談ください。




