できます。

遺言書ってなに?

遺言書(ゆいごんしょ・いごんしょ)とは、亡くなった人(「被相続人」といいます)が自分が死亡した後に、自分の遺産を誰にどのように分けるか意思表示をする文書のことをいいます。

遺言書があり、その形式が民法にのっとったものであれば、(遺留分を侵害する部分を除いて)遺言書のとおりに分けることとなります。この場合、法律の規定よりも遺言書の規定が優先されるのです。

遺言書の要件は?

民法上、遺言書はこういう要件を満たしていないといけないと細かく規定されています。そのため、適当に書いた遺言書だと、民法上の要件を満たしていないとして無効とされるおそれがありますので注意しましょう。

たとえば自筆証書遺言を作成する場合に、民法上要請されている要件は以下のとおりです。

財産目録以外すべて直筆で書くこと

パソコンで作った文章や言葉で残した遺言書ではダメです。ただし、財産目録については、パソコンを利用したり、通帳写しなどを利用することができます。

遺言書を作成した日を明記すること

よくお手紙等にある「8月吉日」のような曖昧な表現ではダメです。
きちんと平成28年8月17日、のように明記しましょう。

遺言者が署名押印すること

これは認印でもかまいません。
拇印を押す人がいますが、その拇印が被相続人のものなのかわからない、というパターンもありますので、紛争を避けるためにも印鑑を用いましょう。

その他にも、遺言書の加除訂正の方法についても細かい規定があったりしますので、遺言書を作りたいと思う方は一度弁護士に相談した方がいいです。

では、その遺言書で生命保険の受取人を変更することはできるのでしょうか?

遺言書を書いているときに、「生命保険の受取人をやっぱりあの人にしておこう」なんて思うことがありますよね。

その時に、遺言書にその旨記載して、受取人を変更することができるのか、ちょっと前まで争いがありました。

生命保険契約の約款にそういった記載がなかったため、遺言書で受取人を変更した場合に新たな受取人が保険金を受け取れないといったトラブルが続出していたのです。

しかし、平成22年4月1日以降、保険法の施行により、遺言書で受取人を変更することができるということが明文化されました(保険法44条を参照してください)。

ただし、保険法上できるとされたのは、平成22年4月以降に締結された生命保険契約に限定されます。保険法施行以前に契約したものは保険法上の遺言書での変更はできませんので注意する必要があります。

この場合、各生命保険会社の約款にしたがって手続きをすることになりますので、受取人を変更したいと思ったら、まずご加入の保険会社に手続を聞いておくことをおすすめします。

(監修者:弁護士 大澤一郎)