税金の申告書、戸籍謄本を準備して銀行を訪れる等の方法により調査することができます。

(回答:弁護士 大澤一郎)

銀行名・支店名がわかれば調査可能

故人の預金口座については、相続人であれば書類の開示を受ける権利があります。実務上、銀行名と支店名が特定されていれば、銀行は現在の残高、過去の取引の履歴についての資料の開示に応じます。

また、訪れた支店には口座はないが他の支店には口座がある場合、相続税申告のために必要であるなどの事情を説明すれば、他の支店の口座を教えてくれることもあります。

税金の申告書から調査可能 

故人が生前、確定申告をしていたような場合には、確定申告書や確定申告を依頼していた税理士の所に預金口座に関する資料があることがあります。

また、相続税の申告をするような場合には、相続税の申告書にも口座の記載があります。特に、相続税の申告書は税理士が調査し、また、遺産から漏れていれば後で税務調査が来てしまいますので比較的正確に預金の調査がしてあることが多いです。

遺産分割調停で質問する方法により調査可能

何らかの書類の中に、銀行名の記載や支店名の記載があるような場合には、遺産分割調停の中で相手に質問する方法により回答を求めることが可能です。

裁判所も何らかの書類に記載があるような場合には、相手に対して回答を求めることが多いです。

ただし、「一切の預金を明らかにして欲しい」とか「預金を隠しているので明らかにせよ」とか根拠もなく聞いても裁判所は相手にしないことが多いので、必ず何らかの根拠を出した上で回答するようにしましょう。

遺産分割調停の中で調査嘱託申立・文書提出命令申立をする方法

手続き上は、遺産分割調停の中で調査嘱託申立をする方法、文書提出命令申立をする方法など裁判所が主体的に関わる調査方法もあります。

しかし、実際の調停手続きの中では、このように裁判所が主体的に預金調査に関わることは極めて少ないと思われます。

結論

預金調査はまずは証拠を探すことが極めて重要です。何らかの手がかりを探してそこから預金調査をしていきましょう。

税金の申告書・既に入手している預金口座の履歴から調査する方法は比較的調査がしやすいと思います。

他方、もめてしまうと他の相続人から事情をきくことは難しくなってしまいますので、もめる前に他の相続人からできるだけ事情を聞いておきたいものです。

(文責:弁護士 大澤一郎)