色々な算定方法があります。

(回答:弁護士 大澤一郎)

寄与分算定の具体的方法について

寄与分算定の方法としては、

  1. 相続財産全体に占める寄与分の割合を定める方法、
  2. 寄与分に相当する金額を定める方法
  3. 相続財産のうち特定物を寄与分と定める方法

があります。

相続財産全体に占める寄与分の割合を定める方法

相続財産全体のうち、何%かを特定の相続人の寄与分として定める方法です。

寄与分に相当する金額を定める方法

相続財産のうち、具体的に何円を特定の相続人の寄与分として定める方法です。療養看護の寄与分の場合には具体的な金額で定められることが多いです。

相続財産のうち特定物を寄与分として定める方法

例えば、具体的な相続財産のうち自営業分の株式は寄与分であると定める方法です。

寄与分の決定方法について

上記のような寄与分の決定方法は、寄与の時期・方法・程度・相続財産の額その他一切の事情を斟酌して決定することになっています。

具体的には、当事者がまずは協議をしますが、当事者間の協議がまとまらない場合には、家庭裁判所での調停・家庭裁判所での審判で決めることとなります。

経験上、寄与分に関する紛争は深刻な紛争となり、また、資料が膨大となり長期化する傾向にありますので、家庭裁判所での調停(話し合い)又は審判(裁判所による強制的な決定)により解決することが多いという印象です。

寄与分を裁判所で主張する方法について

寄与分を主張するためには、通常の寄与では足りず、「特別の寄与」があることが必要です。

証拠がなければ認められないというのが裁判所の一般的なルールですので寄与分を主張する当事者は寄与分についての証拠を集めることがまずは必要です。

特に、寄与分についての主張は過去の経緯を多数証明する必要がありますので証拠を集めることはそう簡単なことではありません。

また、寄与分については審判段階での主張の期間制限があることがありますので審判になった段階では注意が必要です。(具体的には家庭裁判所が定めますが、裁判所は1ヶ月を下らない期間内で寄与分を定める処分の申立をすべき期間を定めることができるとされていますので注意が必要です。

また、期間制限の規定自体に抵触しない時でも、申立人に責任があり審判手続きが著しく遅延するような時は寄与分を定める申立が却下されることもありますので併せて注意が必要です。)

まとめ

寄与分算定には様々な算定方法がありますので、具体的な証拠を出して証明をしていくことが必要不可欠です。

(文責:弁護士 大澤一郎)