個別具体的な事情によりますが、過去の裁判例をみると、生命保険金額が遺産総額の約50%以上であると、特別受益とされる可能性があります。

特別受益と持ち戻しって?

相続における特別受益とは、ある特定の相続人が亡くなった方(被相続人)から生前贈与や遺贈により利益を受けていた場合に、相続人間の公平を目的として、その受けた利益を相続分に持ち戻して計算するという制度です。

簡単に言うと、1人だけたくさんもらうのはズルいので考慮しましょうという制度です。

特別受益者であると認定されるのは、「遺贈」「婚姻、養子縁組のためもしくは生計の資本として贈与を受けた者」です。

そして、生前贈与や遺贈が特別受益に当たる場合に、遺産にその生前贈与や遺贈の分を被相続人死亡時にあった遺産として遺産の中に加えることを「持ち戻し」といいます。

生命保険金も特別受益になるの?

ある特定の相続人が被相続人の生命保険金の受取人になっていたとしても、原則として生命保険金は特別受益になりません。

しかし、その額が遺産と比較して多大で、相続人間に著しい不公平を招くような例外的な場合には、特別受益にあたるとされています。

それでは、以下具体的に、生命保険金の特別受益性が認められた事例を見てみましょう。

特別受益と認められた過去の事例の紹介

1.保険金額の合計額が相続開始時の遺産の61%であった事例

保険契約に基づき保険金受取人とされた妻が取得する保険金等の合計額は約5200万円と高額で、相続開始時の遺産価額の61パーセントを占めること、被相続人と妻の婚姻期間が3年5カ月程度であることなどを総合的に考慮すると、保険金受取人である妻とその他の相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存するとされた事例(名古屋高裁平成18年3月27日決定)。

2.保険金額が相続開始時の遺産の99パーセントであった事例

被相続人の妻が受取人になっていたが、その妻が被相続人より先に死亡したことにより被相続人の子のうちの1人が生命保険金の受取人になった事例において、当該相続人は、被相続人が契約した生命保険の受取人になり、その保険金(約1億0129万)を受領したことによって遺産の総額(約1億0134万)に匹敵する巨額の利益を得ており、受取人が変更された時期やその当時当該相続人が被相続人と同居しておらず、被相続人夫婦の扶養や療養介護を託すといった明確な意図のもとに受取人が変更されたと認めることも困難であるとして、死亡保険金が特別受益に準じて持ち戻しの対象となるとされた事例(東京高裁平成17年10月27日決定)。