現物分割が可能な不動産かどうかをきちんと確認しましょう。相続人間では納得していてもあとでトラブルとなるときがあります。

1. 遺産分割の方法について

遺産分割の方法には、現物分割・代償分割・換価分割・共有分割の4種類があります。不動産について相続人間で合意ができれば、現物分割の方法をとること自体には問題はありません。ただし、不動産の現物分割の具体的な方法については、裁判所が相続人間で決めた現物分割以外の方法をとることは通常ありませんので、当事者間で不動産の現物分割の具体的な方法について合意しておくことが必要です。

2. 不動産特有の問題について

不動産の売買の際と同様に、隣地所有者との間で境界の確認ができているかどうか、建築基準法上の接道義務やその他の法令上の制限をクリアできているかどうかを確認する必要があります。また、過去に工場・クリーニング屋などをしていた不動産の場合には、土壌汚染のリスクもありますので注意が必要です。これらは、通常の不動産売買の際と同じ事項です。

3. 遺産分割審判で不動産を現物分割する場合の事前の準備事項について

審判により一筆の土地の現物分割をする場合、その後に登記が必要となることがあります。そのため、事前に分筆をするために必要な事項を準備しておくことが必要です。地積測量図・境界確認書(筆界確認書)・道路境界確定証明書などの書類を準備しておくことが必要です。土地家屋調査士等に依頼をして事前に図面等を作成すると共に、登記を依頼する司法書士に事前に相談をして、必要書類の準備をしておくことが必要です。特に、隣地所有者と境界について確認ができていないと、分筆の登記ができなかったり、その不動産を今後売却することが困難となったり、不動産の時価が下がるなどといった深刻なトラブルとなる可能性がありますので注意が必要です。

4. その他

審判により一筆の土地を現物分割する場合、裁判所の手続きが極めて複雑になる傾向にあります。相続人間で合意ができるのであれば、裁判手続外で一部分割の方法などで分筆登記などの手続きをすませてしまうほうが簡便です。どうしても合意が成立しない場合には、審判によって換価分割(競売による分割)となってしまう場合もあります。競売による分割の場合には、各相続人の取得できる金額が少なくなってしまうことが多いので、できるだけ相続人間で合意ができるように話し合いをすすめた方がよいでしょう。

動画で見る相続:不動産を相続する際の注意点

(解説:今村公治 弁護士)