1. 相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知ったときから1年で時効により消滅します。相続開始から10年を経過したときも消滅します。

2. 1の時効を止めた後、さらに別の時効が問題になります。その期間は1の時効を止めたのが令和2年4月1日以降かそれより前かによって変わってきます。

(回答:弁護士 佐藤寿康)

遺留分侵害額請求の時効

民法では、遺留分侵害額の請求権は遺留分権利者が相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年又は相続開始時から10年を経過した時は時効により消滅すると定められています。
遺留分の制度は令和元年7月1日施行の改正民法により大幅に変わりましたがこの点は改正前も改正後も同様です。

1年の消滅時効の起算点

1年の消滅時効の起算点は、単に贈与や遺贈があることを知ったにとどまらず、それが自己の遺留分を侵害することを知ったときです。

侵害された遺留分の具体的な金額などを知ったということまでは必要ではなく、漠然と遺留分が侵害されたことを知ったときが起算点です。この辺りはどうしても曖昧なので、請求する側としては、被相続人の死亡から1年以内に時効の問題を解消しておくように行動するのが安全です。

10年の期間制限

被相続人が亡くなってから10年が経過すると、遺留分侵害額請求をすることはできなくなります。法律の理屈では時効ではなく除斥期間と扱われています。

消滅時効の進行を止める方法

消滅時効の進行を止める方法には色々な方法があります。最も簡単な方法は相手方に対して口頭や電話で遺留分侵害額を請求する意思を伝えることですがこの方法ですと伝えたこと自体やその日付を証明するのが困難です。これらを証拠化するために簡単な方法は配達証明付きの内容証明郵便を相手方に送付する方法です。

内容証明郵便の送付は、相手方ごとに効力を生じますので、遺留分を請求できる可能性がある人全員に対して内容証明郵便で通知を送付する必要があります。

遺留分の問題を動画で解説

裁判所への訴状や申立書の提出だけでは止まらない。

多くの場合、訴訟提起や調停申立てを行うことによって時効が止まりますが、遺留分侵害額請求における1年または10年の時効はこの方法だけでは止まりません。

遺留分侵害額を請求する旨を記載した訴状や調停申立書の副本が裁判所からの特別送達郵便という特別な郵送方法で相手方に交付された時点で止まります。

特別送達郵便の発送日は請求者側においてコントロールすることができませんので、期間の満了まで間もないときは、別途内容証明郵便を送付しておくのが無難です。

1年や10年の時効を止めた後の時効が別途あります。

このように遺留分侵害額を請求する旨を相手方に伝えることでこれらの時効は止まりますが、その後別の時効が進行します。

1. 令和2年3月31日までに時効を止めた(内容証明郵便が相手方に到達した)とき

時効を止めたときから10年で、遺留分侵害額に相当する金銭を支払えという請求権が時効消滅します。

2.令和2年4月1日以降に時効を止めた(内容証明郵便が相手方に到達した)とき

時効を止めたときから5年で、遺留分侵害額に相当する金銭を支払えという請求権が時効消滅します。

これらの時効にならないようにするためには、遺留分侵害額の金銭を請求する訴訟等の手続を行う必要があります。

まとめ

時効はとても怖い制度です。以上ご案内した期間を、細心の注意を払って管理する必要があります。ご注意ください。


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