使途不明金の発生時期等によって結論が異なります。

1. 使途不明金

生前に、故人の財産を管理していた相続人の1人が預金口座から金銭を引き出していることが問題となる場合があります。これが使途不明金の問題です。

2. 相続開始後の使途不明金 

預金の名義人がお亡くなりになった後、預金口座からお金が引き出しされた場合には、その引き出した預金は通常遺産となります。引き出しした相続人を特定して、その相続人が遺産を先に一部もらったという前提で話を進めるのが通常だと思います。

3. 相続開始前の使途不明金

相続開始前の使途不明金についてはいくつかのパターンがあります。無断で相続人が引き出しをしていた場合には、その使途が故人のための使用でなかった場合、使途不明金を遺産に戻して計算する(引き出しした人が遺産を先に一部もらったとして計算する)ことになります。

他方、故人の意思に基づいて引き出しされ、利用されていた場合には、通常は特別受益の問題となります。

4. 使途不明金を争う方法

使途不明金は、遺産分割調停の中の特別受益の問題として争いになる場合と、民事訴訟である不当利得返還請求訴訟(又は不法行為に基づく損害賠償請求訴訟)の中で争いになる場合があります。いずれで争うかは、請求する側、請求される側のいずれであるかや証明する証拠がどれだけあるかによって作戦が異なります。

5. 使途不明金を請求する側の作戦

使途不明金を請求する場合には、まず、故人の通帳の履歴を過去10年分取り寄せします。他の相続人が通帳のコピーを渡さない場合には金融機関に開示請求をして取り寄せします。その上で、大きな引き出しを個別にチェックしたり、一定の期間の引き出し額が多すぎることをチェックしたりして使途不明金の額を計算し、相手に使途についての開示を求めていきます。相手から使途の開示がない部分については使途不明金として民事訴訟(不当利得返還請求訴訟)で争うことが一般にはよい場合が多いと思います。

不当利得返還請求権の時効は10年ですので、相手に時効を一時止めるための請求書を早めに送付することも大切です。

6. 使途不明金を請求された側の作戦

まずは、領収書など過去の入出金に関する資料を集めることが大切です。その上で、故人の意思に基づいた引き出し行為であったこと、故人の意思に基づいて使用したこと、金額としても問題ない額の引き出しであることなどを主張します。場合によっては寄与分があることもありますので、寄与分の主張をした方がいいときもあります。

7. 結論

使途不明金の問題は長期化する可能性がある問題です。資料をどれだけきちんと準備できるかが課題となりますのでもめる前の事前の準備が大切です。