1. 実は同じ意味
故人 こじん
被相続人 ひそうぞくにん
どちらも同じ「亡くなった人」という意味です。
2. 使用場面が異なる?
「故人」と「被相続人」
主に使用される場面が違ってきます。
(1)「故人」
「故人」は、葬儀などで、使用することが多いかと思われます。
「故人」の対義語は、「生人」です。
「生人」とは、そのままの意味で「生きている人」という意味です。
このような対義語からすると、「故人」という言葉は、どちらかというと「亡くなった」というニュアンスが強いのかもしれません。
(2)「被相続人」
「被相続人」は、主に亡くなった人の財産に関する手続きの際に使用することが多いかと思われます。
「被相続人」の対義語は、「相続人」です。
「相続人」とは、亡くなった人の財産を相続「する」人を意味します。
「被相続人」とは、亡くなった人で財産を相続「される」人を意味します。
「被相続人」の「被」とは相続「される」という意味です。
「被相続人」という言葉は、なにかを承継されたり、引き継がれるというニュアンスが強いのかもしれません。
民法でも、「故人」という言葉は使用されず、「被相続人」という言葉が使用されています。
亡くなった人の銀行預貯金の解約に関する場面でも、多くの銀行が「被相続人」という言葉を利用しています。
3. まとめ
「故人」も「被相続人」も亡くなった人を指すという点では、同じ意味です。
主な使用場面は異なりますが、「被相続人」と使うべき場面で、「故人」と呼んだとしても、意味は伝わります。ただし、葬儀などで「被相続人」という言葉を使ってしまうと、なんともいえない空気になるかもしれません。
亡くなった人の遺産に関する場面以外は「故人」という言葉を利用したほうがいいかもしれません。
ただし、身内の間では、亡くなった「おじいちゃん」や「おばあちゃん」でもいいと思います。
以上は、あくまで私見ですので、ご了承ください。
(監修者:弁護士 大澤一郎)