第1 不動産を持っていると争族となりやすい理由
共有分割が好ましくない
売却などする場合には、共有者全員の同意が必要となり、結局相続の先送りにしかなりません。
評価方法が一つではない
不動産の代償金を決定する際の不動産の評価を巡って争いになってしまいます。
ローンが残っている
ローンの承継者を早期に決める必要があります。
不動産を管理していたのが、被相続人のみではない
マンションなどの収益不動産をお持ちでも、事実上の管理は、そのオーナーの相続人が行っていることが少なくありません。その事実の管理に関し、特別受益や寄与分の主張がなされ、紛争が泥沼化していくことがあります。
皆が不動産を欲しいわけではない
収益性の低い不動産を押し付け合いになってしまい、遺産分割が進まないことがあります。
過去の資料が残っていない場合が多い
亡くなった方の不動産購入代金の出どころ等を巡って、相続人間で争いになることがあります。しかし、相続発生時には不動産を購入して時間が経過しておりその資料が残っていないと、争いの種になりますくなります。
第2 不動産オーナーの方へ
~自分の死によって紛争が起きないために~
最も簡易かつ効果的なのは遺言作成!
相続紛争を起こさないために、遺言の作成をお勧めします。遺言によって不動産を含めた各遺産の承継者を明確に決めておくことは、円満な相続につながります。
遺言の作成にあたっては、遺留分などに配慮する必要があるので、弁護士などの専門家の指示の下で、作成することをお勧めします。
認知症対策としては、民事信託や任意後見の利用
不動産をお持ちの方が、重度の認知症等のため判断能力が失われてしまった場合、不動産の売却や大規模修繕や管理が難しくなってしまいます。
民事信託や任意後見を利用すれば自身の判断能力が失われた後でも、財産を管理する方を指定できます。その方に、不動産の売却などを依頼することができます。
第3 不動産オーナーが亡くなってしまったら
早期の相談を
早期の相談が早期の解決につながります。亡くなった方が不動産を持っていた場合、相続人の方は、早期に専門家に相談することをお勧めします。
不動産は、未分割の間にも様々な争いの種が出てきます。
遺産の中に不動産があると、遺産未分割の間の固定資産税などの維持費の支払い等が問題となることがあり、これも争いの種になってしまいます。
そのほか、植木など管理方法やさらに収益不動産であれば賃料の管理など様々な問題がでてきてしまいます。
弁護士を代理人とするメリット
弁護士を代理人として、当事者の間に入ってもらうことで自身の考えも整理されたうえで法的な主張が可能となります。
整理された主張や経験豊富な弁護士が臨機応変に対応することによって、当事者の話合いでは解決の糸口すら見つからない場合でも解決策が見つかることもあります。