遺産分割協議書の具体的な記載例については、本章と、次章のひな型・サンプルの記載例を読めば、誰でも遺産分割協議書を一から作成できるようになっていますので、ぜひご参考にしてください。

遺産分割協議書作成の基本ルール

遺産分割協議書には決まった形式はありません。縦書きでも横書きでも、パソコンでも手書きでも構いません。

ただし、遺産分割協議書を作成するにあたっては、基本ルールと、注意点を抑えておく必要があります。遺産分割協議書の作成方法について、協議書の具体例に沿って、ご説明します。

作成のポイント

  1. 相続人全員が合意すること
    遺産分割協議書の内容に相続人全員が同意したことが必要です。相続人の一部が欠けていると遺産分割協議書が原則無効になってしまいます。
  2. 被相続人(故人)の氏名、生年月日、死亡日、最終の本籍と住所を記載する住民票、戸籍に記載されているとおりに記載しましょう。
  3. 相続人を特定する
  4. 誰がどの遺産を取得するかを記載する
    不動産は住所ではなく、不動産登記簿のとおりに記載してください(登記簿謄本は、法務局でだれでも取得することができます)。
    登記簿上の記載に基づいて正確に記載しないと、所有権の移転登記が出来ないことがあるので要注意です。
    預金ついては、通帳等の記載を確認して、銀行名、支店名、口座番号を正確に記載します(最終残高は変動しうるので金額は記載しなくてOKです。)。支店名等が欠けていて預金口座を特定できない場合には預金解約の手続きができなくなることがあるので注意しましょう。
    特定の相続人が全財産を取得する場合には、「全ての相続財産」などと記載すればOKです。個々の遺産を全て列挙する必要はありません。
  5. 被相続人名義の借金等があれば債務を記載する
    借金等の債務については、各相続人が法定相続分どおりに承継するのが原則です。
  6. 後日新たに遺産が見つかった場合の処理方法を決めておく
  7. 作成年月日を記載する
  8. 相続人全員が署名捺印をする
    法律上は記名でも構いませんが、通常は、後のトラブルを防ぐためにも、相続人全員に署名押印してもらうのがよいです。
  9. 印鑑は実印を使用し、印鑑証明書を添付する
    実印でないと不動産登記や銀行の手続きができなくなる可能性があります。
    実印で押印したうえ、相続人全員の印鑑証明書を添付しましょう。

遺産分割協議書が複数枚にわたる場合

遺産分割協議書が複数枚にわたる場合は、相続人全員分の実印で契印をします(各ページごとに、またがって押印します)。

遺産分割協議書は何通作成するべきか

遺産分割協議書は、相続人の数だけ作成するのが原則です。相続人全員が同じ内容の遺産分割協議書を各自1通ずつ保管しておくことが最もおすすめです。
もっとも、争いがないケースでは、1通だけ原本を作成して、各相続人に写しを交付する場合もあります。


遺産分割協議書について

動画で見る相続:遺産分割について

(解説:大澤一郎 弁護士)

遺産分割についてご不明な点はありませんか?