お困りの問題 : / 担当弁護士 :

事案の経緯について

母親は、ほぼ全ての財産を長男に相続させる旨の遺言書を作成していました。

また、負債についても長男に相続させる旨の遺言書を作成していました。

遺言書の内容に基づき不動産の名義変更の登記をしたところ、次男・三男・長女から遺留分侵害請求の書類が届きました。当事務所では長男を代理しました。

事案の概要

 亡くなられた方 母・小川トミ様(仮名、75才、柏市在住)
相続人

長男・小川一郎様(仮名、50才)

次男・小川次郎様(仮名、48才)

三男・小川三郎様(仮名、45才)

長女・小川花子様(仮名、40才)

   遺産の内容

土地建物複数、預貯金

解決方法

当初、話し合いによる解決を双方希望していましたが、不動産の評価額をいくらと評価するかについての折り合いが付きませんでした。相手の遺留分の請求額は明らかに不動産の標準的な時価の範囲内を超えていましたので、その点が話し合いでの解決が困難だった原因です。

そのため、遺留分についての調停を申立し、不動産の評価額について、双方が不動産会社が作成した見積書を作成して主張・立証をしました。

最終的には、当方の条件にやや近い条件で、双方の中間での和解(不動産は全部長男が取得する代わりに、遺留分に相当する金銭を他の相続人に支払う。支払方法は分割払い)との和解が成立しました。

弁護士からのコメント

遺留分については、不動産の評価方法が争いになることが多いです。特に、マンション等の収益物件については、前提事実をどのように評価するかによってかなり違いが発生します。前提となる事実をきちんと主張・立証することが重要です。

不動産を多数所有している方がお亡くなりになった場合、遺留分相当額として支払う金銭が準備できるかどうかが問題となることがあります。銀行からの新たな借入等が必要となることもありますので、分割払いや支払時期を1年後位とするなど、柔軟な和解案を提案することにより、支払う側としては解決をしやすくなります。

遺留分の調停は、1ヶ月~2ヶ月に1回行われます。間に期間があいてしまいますので、調停をしながら平行して相手と交渉をして、できるだけ早期の解決を図ることが望ましいでしょう。

※上記の事例は当事務所で実際にお取り扱いした事例ですが、プライバシー保護のため、事案の趣旨を損なわない範囲で居住地・遺産の額・家族関係等につき事実関係を変更している場合があります。ご了承ください。