一定割合又は一定額で算定をします。

(回答:弁護士 大澤一郎)

標準的な算定方法

寄与相続人が通常得られたであろう給付額 ×(1 − 生活費控除割合) × 寄与期間

寄与相続人が通常得られたであろう給付額とは何か

寄与相続人が提供した労務について、相続開始時における標準的な報酬額のことを言います。賃金センサス等の各種統計を元に判断することが多いです。

賃金センサスとは国が作成している各種業種・年齢の平均賃金を定めた資料のことで裁判などでよく利用される資料です。

生活費控除割合とは何か

無償で労務を提供していた場合、一定額の生活費の援助を寄与相続人が受けていることが普通と考えられます。

そのため、寄与相続人が故人から受けた生活費の援助分を差し引いて計算します。

標準的な計算以外の計算方法

相続財産の総額 × 寄与相続人が相続財産の形成に貢献した割合

※この計算方法は、長期間にわたって財産の維持又は貢献に協力してきたような場合に適切な計算方法です。

家業従事型の寄与分算定時のポイント

原則として「寄与相続人が提供した労務について相続開始時における標準的な報酬」を基礎として計算します。

そのため、同種・同規模の事業に従事する同年齢層の給与額を明らかにする必要があります。この場合、賃金センサス等の公的な統計資料を参考にすることが望ましいです。

他の相続人の労務提供状況

他の相続人も労務を提供している場合がありますので、その場合は複数の相続人が労務を提供していることを前提に計算をする必要があります。

極端に収益性が低い家業について

極端に収益性が低い家業については、賃金センサス等の資料を使用することは相当ではありません。

このような場合には、賃金センサスではなく実際の数値に近い数値を利用することが望ましいことがあります。

寄与相続人の家計の状況について

労務の対価は無償であっても、故人から寄与相続人が生活費の援助を受けている可能性があります。

そのような場合には、生活費の援助を受けていることを前提に寄与分の有無及び具体的な算定額を定めます。

まとめ

家業従事型の寄与分の具体的な算定方法は、「寄与相続人が通常得られたであろう給付額 ×(1 − 生活費控除割合)× 寄与期間」で決めることが通常ですが、その他の計算式による場合もあります。具体的な事案ごとに計算方法及び具体的な寄与分の額は異なってきますので注意が必要です。

(文責:弁護士 大澤一郎)