借地権の価値についての調査のほか、地主との関係に注意が必要です。

1. 借地権の意義

借地権とは、建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権のことをいいます。借地権も被相続人の有していた財産(権利)として相続の対象となります。借地上の建物に住んでいなかった相続人であっても相続することができます。

2.借地権の価値

借地上の建物は、自宅や店、事務所など生活・仕事場としての本拠となっている場合が多いです。例えば、借地上に自宅を構えていた借主が貸主の気まぐれでいきなり出て行けと言われたのではたまりません。

借地権は法制度上も重要な権利と位置づけられていて、例えば存続期間が原則30年以上と定められています。このように、借地権は借地借家法上の保護を手厚く受けるため、大きな価値を有する場合が多いです。

借地権の価値は、更地と仮定した土地の評価額の7割といった形で表されます。具体的にどれくらいの割合になるかは路線価図の借地権割合を参考にします。借地権割合とは国税局が地域ごとに定めた、更地の時価に対する借地権価格の割合のことで、地価の高い地域ほど借地権割合も高くなる傾向があります。

3.地主との関係

借地権の譲渡には地主の承諾を要しますが、相続は譲渡ではありませんので地主の承諾は原則不要です。名義変更料のようなものも払う法的義務はありませんし、出て行けといわれてもそのような法的義務はありません。ただ、地代の支払いは継続する必要がありますので、地代を受け取らない場合は供託するなどの方法が考えられます。

一方で、借地権を区分して、複数の相続人に分割して借地権を相続させる場合、地主の承諾が必要とされています。調停においても、借地権の分割の際には地主の承諾の有無が確認されているようです。

相続が開始したら、地代支払い義務との関係で、速やかに協議の上借地権を相続する人を決定することが望ましいでしょう。そして、建物の相続登記を行い、地主に誰が相続することになったかを連絡する必要があります。

4.協議が整わない場合

借地権について分割方法が合意できない場合、共同相続人は借地権を準共有することになります。この場合、地代は各相続人が単独で全額支払う義務を負います(一人が支払えば他の相続人は支払う必要はありません)。

また、建物を第三者に貸すことを決める場合には過半数の同意が、建物を売る場合には全員の同意がそれぞれ必要になります。

5.内縁の妻が被相続人と生前居住している場合

借家権についての話になりますが、内縁の妻には相続権がありませんので、借家権も相続することはありません。もっとも、判例は内縁の妻に相続人の相続した借家権を、地主に対して援用して以後も居住し続けることを認め、また、相続人からの明渡しの請求については権利の濫用として許されないと判断しました(最高裁昭和42年2月21日)。

被相続人の死亡によって、突然生活の本拠を奪われる内縁の妻の不利益に配慮したものです。なお、相続人が居ない場合、内縁の妻は賃借権を相続することができるという法の規定(借地借家法36条1項)もあります。

6.まとめ

以上のとおり、借地権は土地そのものより大きな価値が認められている場合がありますので、しっかりとした調査が必要です。そして、地主との関係で、借地関係に争いが従前からある場合や相続によって争いが生じた場合には、地主が借地権を買い取るなど様々な解決方法が考えられますが、専門家に1回相談することも十分検討されるべきでしょう。