借地権の承継は特別受益となります。借地権の設定は事案によります。

1. 借地権とは

借地権とは、建物所有目的で土地を賃借する人が土地に対して有する権利のことを言います。通常、借地権が設定されると不動産の価値は30%~70%下落すると言われており、借地権価格は不動産価格の30%~70%となります。

2. 借地権の承継について

故人が生前に借地権を特定の相続人に承継した場合、借地権には財産的価値がありますので、借地権の承継は通常特別受益となると考えられます。ただし、借地権を承継させる際に相場なみの対価を相続人が支払っていた場合には、通常の借地権の譲渡に関する契約と同様ですので、特別受益とはなりません。

3. 借地権の設定について

例えば、父親が所有する土地上に相続人である子供が建物を建てて、地代を支払って住んでいるような場合です。

この場合、子供は借地権の設定により利益を得ていますので、借地権の設定が贈与と同視できるとして特別受益となることが多いと思われます。ただし、借地権の設定の際に世間の相場なみの権利金を支払っている場合や個別の事情により持ち戻し免除の意思表示があると判断される場合には特別受益には該当しないと考えられます。

借地権の設定は、親の介護をしたり、何らかの必要性があるなどの事情もあります。そのような場合は故人が持ち戻し免除の意思表示をしていると評価できることもあります。

4. 借地権と特別受益の争い方

まずは、土地を借りているという権利関係が有償なのか、無償なのかと言う点を確認することが必要です。無償の場合には使用貸借契約ですので、借地権の問題は発生しません。特に親族間での契約のために、契約書がなかったり、実際の地代の支払いの証拠の資料がないなどということもありえます。まずは、過去の資料を集めて、権利関係をきちんと把握しましょう。その上で、特別受益に該当する場合には、その特別受益に該当する借地権の評価をする必要があります。不動産の時価を評価し、その上で借地権の価格を評価するということになります。不動産の評価は非常に判断が難しいので、当事者間で合意ができなければ、裁判所での鑑定によって借地権の価格を評価することになります。裁判所での鑑定の場合、1物件について鑑定費用が50万円~100万円程度かかることが多いです。費用は遺産から出すという扱いにすることが多いですが、当事者で合意ができれば、当事者が合意した方法により鑑定費用を支払うことになります。

5. まとめ

以上のように、借地権の譲渡は原則特別受益となります。借地権の設定は事案によりますが、特別受益となることもあります。

参考判例

  • 東京家庭裁判所平成12年3月8日審判