一部分割とは相続人全員の合意の上で争いのない遺産の一部を分割する方法です。

1. 遺産分割の原則

遺産分割調停・審判においては、全ての遺産を1回の調停・審判で分割してしまうことが原則です。ただし、相続人全員が合意をしているのであれば遺産の一部だけを先に分割する方法も当然可能です。この一部分割は、裁判所外での遺産分割協議でもよく行われていますし、調停・審判で行うことも可能です。

2. 一部分割を行うことが有効な場合

  • (1)預貯金を分割して相続税の支払いに充てる場合
  • (2)不動産を売却して相続税の支払いに充てる場合
  • (3)不動産を売却して売却代金を使って各相続人への配分額を調整する場合
  • (4)分割が簡単な遺産を先に分割して、分割が困難な遺産を後でじっくりと検討する場合
  • (5)遺産の範囲を確認する訴訟が起こっていて確定に時間がかかる場合に争いのない遺産のみを先に分割する場合

3. 一部分割をする場合の注意点

  • (1)一部分割をする場合、後で行われるであろう最終的な合意または審判との関係がどのような関係になるのかを各相続人が明確に認識して合意しておく必要があります。
  • (2)一部分割で預金などの分けやすい財産のみ先に分けてしまうと、最後の段階で不動産などの分けにくい財産が残ってしまい、遺産分割協議が進まないことがありますので注意が必要です。
  • (3)寄与分や特別受益の主張がある場合には、寄与分の額、特別受益の額が大きいような場合には一部分割ができないことがあります。

4. 結論

一部分割は色々な点で便利なことが多いので、相続人間の合意で積極的に活用することが望ましいといえるでしょう。ただし、裁判所で行う一部分割の合意の場合には裁判所のルールからして認められないと裁判所が言ってくることもありますので注意が必要です(調停申立中でも、当事者間が裁判所外で合意をすれば一部分割は通常可能ですので、裁判所外での一部分割の合意を積極的に利用する方法がよいでしょう)。