できません。

1. 価額弁償の抗弁について

遺留分を請求する側は、不動産現物での返還を遺留分減殺請求権の行使の結果請求することが可能です。これに対して、遺留分を請求された側が現物ではなく金銭での返還を求めた場合(価額弁償の抗弁と言います)には、裁判所は最終的には判決において、現物ではなく金銭での支払いを命じる判決の言い渡しをします。

具体的には判決において「被告(価額弁償者)は原告(遺留分権利者)に対し、被告が原告に対して民法第1041条所定の遺贈の目的の価額の弁償として金○○円の支払いをしないときは、別紙物件目録記載の不動産の持分○分の○につき、平成○年○月○日遺留分減殺を原因とする所有権移転登記手続きをせよ」という判決になります。つまり、遺留分を請求された側は、(1)まずはお金で支払う、(2)お金を支払いしない場合には現物で支払うという2つの選択肢があるということになります。

2. 実際の遺留分に関する話し合いについて

実際の遺留分に関する話し合いをする場合、請求する側、請求される側共に、現物・金銭のいずれでの解決が望ましいか悩む時がありますが、選択する権利があるのは遺留分を請求された側です。

つまり、遺留分を請求する側は現物のみでの請求しかできないのに対して、遺留分を請求された側は現物・金銭のいずれも選択することができます。

3. 遺留分を請求する側の請求方法について

実際に訴訟で遺留分に基づく請求をする場合、遺留分減殺請求権の行使による共有物の返還請求をメインの請求、価額弁償の請求を予備的に請求することは可能です。これは、遺留分を請求された側が価額弁償を選択した場合には、価額弁償請求権を請求する側が取得することになります。

4. その他の問題

遺留分と価額賠償には、遅延損害金の起算点、一部価額賠償、価額弁償の終期等の難しい問題が数多くあります。

5. 価額弁償についてのまとめ

遺留分を価額弁償については複雑な問題が多くありますが、大きな枠組みは以下の枠組みとなります。

  1. 遺留分を請求する側 現物の返還のみの請求が可能
  2. 遺留分を請求された側 現物の返還及び価額賠償の選択が可能

参考判例

  • 最高裁判所平成9年2月25日判決
  • 最高裁判所平成20年1月24日判決
  • 最高裁判所平成21年12月18日付判決