相続開始時です。ただし、現金については貨幣価値の変動を考慮する必要があります。

1. 特別受益の評価と遺産分割の評価の違い

通常、遺産分割において財産を評価する場合には、遺産分割時(直近)の価格を前提に評価を行います。

他方、特別受益に該当する財産を評価する場合には、遺産分割時ではなく、相続開始時(故人がお亡くなりになった時)の価格を前提に評価を行います。

そのため、裁判所で鑑定をする場合には、相続開始時の鑑定評価と直近の鑑定評価の2つの鑑定評価が必要になります。

2. 特別受益の評価における貨幣価値の変動について

金銭での贈与の場合には別途の考慮が必要と考えられています。例えば、50年前に結婚のための資金として100万円を贈与した場合、50年前の100万円と現在の100万円では価値が違っています。実際には何倍も価値が異なるでしょう。消費者物価指数などを考慮して、金銭での贈与の場合には評価を検討します。

例えば、裁判所での例では、昭32年に10万円の贈与を受けたケースでは、昭和59年での評価は約4.83倍の48万3606円と評価されています。

・消費者物価指数とは、総務省が発行する物価指数の1つです。他の指数もありますので、実際の計算の際には様々な指数を考慮することも1つの選択肢です。(なお、金銭以外の特別受益の場合には、貨幣価値は考慮せずに、相続開始時の時価で評価をすることとされています。)

3. 受贈者の行為によって増減・滅失が生じた場合

受贈者の行為によって受贈財産が滅失又は価格の増減があった場合には、相続開始時にはその財産が存在するものとして評価します。

例えば、2000万円の不動産を贈与された者がその不動産を焼失させたとしても、相続開始時の評価が1500万円であれば、1500万円の特別受益として評価します。

4. 受贈者の行為によらずに増減・滅失が生じた場合

滅失の場合には、特別受益はないものとして評価します。価格の増減があった場合には、変動後の財産の相続開始時の価格で評価します。

例えば、地震などで建物が滅失した場合には、特別受益はないものとして評価します。地震で半壊した場合には、半壊した前提で相続開始時の時価を算出します。

ただし、建物の場合には、使用利益との関係でどのように評価すべきかという問題がありケースバイケースの判断が必要です。