合意成立と金銭の支払いを同時履行とする方法や、相手の代理人弁護士に金銭を預らせる方法などがありますが100%確実ではありませんので注意が必要です。

1. 代償分割について

代償分割とは、特定の相続人に遺産を取得させる代わりに、代償金として金銭を遺産を取得しない相続人に支払わせる制度です。現物分割・換価分割・共有分割とならぶ、遺産分割方法の1つです。

2. 代償分割の条件

裁判所の調停・審判では、通常、代償分割で遺産を取得する相続人が、金銭支払能力があることの提示をすること必要です。具体的には、預金通帳のコピー等を証拠として提出する方法です。ただし、預金通帳に金銭が入っていても、引き出しをしてしまえば預金はなくなってしまいます。

3. 同時履行

調停成立(又は遺産分割協議書への署名・押印)と金銭の支払いを同時履行とすれば、確実に代償金のやりとりをすることができます。

また、一度相続持分通りの共同相続登記をした上で、代償金の支払いと共有持分移転登記手続きを同時履行とする方法もあります。(登録免許税が別途かかります。)

4. 仮差押え

審判前の保全処分として仮差押えをする方法もありますが、保証金を法務局に供託しなければいけないことや手続きの煩雑さなどの問題がありますのであまりお勧めはできません。

5. 代理人口座で預からせる方法

弁護士が相手の代理人としている場合には、相手の代理人口座に預からせる方法もあります。相続人本人よりも代理人弁護士が金銭を預かっている状態の方が確実に代償金が支払いされる確率が高いと思います。(ただし、代理人弁護士と相続人がもめてしまうこともないわけではありません。)

6. 相手の財産状態の把握

代償金を支払う相続人が担保の付いていない不動産を所有していたり、その他何らかの財産を所有しているような場合には、代償金の支払いがないことを理由として強制執行(差押)をすることができます。また、相手の職場が固い職場の場合には、給与差押、賞与の差押、退職金の差押えなどの手続きをとることも可能です。代償金の支払い能力に不安がある場合には、相手の財産状態を把握しておくことも重要と言えるでしょう。

7. 結論

以上のように、代償金の支払いを100%確実にする方法はありません。しかし、色々な方法を使うことにより、代償金の支払いがきちんとされる確率は上がりますので、適切な対処をしたいものです。