ご相談までの背景
相談者の鈴木さんは、亡くなった吉川さんとは年齢も近く、住まいも近かったので、吉川さんは、鈴木さんを実の弟のように可愛がり、鈴木さんは吉川さんを実の兄のように慕っておりました。
ある日、吉川さんは、持病のために、自宅で亡くなってしまいました。
吉川さんは、一人暮らしで、兄弟や両親もいないため、吉川さんの葬儀や埋葬等は、鈴木さんが行いました。
吉川さんと鈴木さんは、親類の関係にはありますが、遠い親戚といった関係でしたので、鈴木さんは、吉川さんの相続人ではありませんでした。
吉川さん自身もこんなに早く亡くなると思っておらず、遺言の作成等の終活を一切行っておりませんでした。
鈴木さんとしては、吉川さん名義の電気等を止めてもいいのか分からないため、よつば総合法律事務所に相談に来られました。
亡くなられた方 (被相続人) |
父・吉川 篤之介様(仮名・60代) |
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相続人 | 遠い親類・鈴木 啓宗様(仮名・50代・市原市五井在住) |
遺産の内容 | 不動産、預貯金 |
弁護士が入った後
相談で、特別縁故者を知る
鈴木さんは、吉川さんの遺産を取得したいというより、勝手に電気等を止めても問題ないのでしょうか?という疑問を解消したいために、相談に来られました。
話を聞いているうちに、鈴木さんは吉川さんにとって、まさに特別縁故者にあたることが分かりました。
特別縁故者への財産分与のためには、家庭裁判所に相続財産管理人を選任してもらい、その相続財産管理人に吉川さんの財産も債務も調査してもらう必要があります。
そのため、まずは、相続財産管理人の選任の申立てを行いました。
相続財産管理人の調査にも誠実に対応
鈴木さんは、選任された相続財産管理人に対して、財産や債務の資料の提出等の調査に誠実に協力しておりました。
鈴木さんは特別縁故者…でも、どうやって立証?
鈴木さんが、特別縁故者にあたるというためには、例えば内縁配偶者や養親子のように具体的で現実的な交流が被相続人との間にあり、相続財産を分与することが被相続人の遺志にも合致すると考えられる程度に密接な関係があったことが必要となります。
これらの関係性については、鈴木さんが立証する必要があるので、資料等が必要となります。
ただし、被相続人の亡くなる前から特別縁故者の申立てを想定して、資料を残している方は、まずいません。そのため、関係性の立証が困難となる場合が多いです。
実際には、残されていた写真や日記等から鈴木さんと吉川さんの事実上の兄弟のような関係性を立証しました。
鈴木さんは、吉川さんが亡くなった後に関係者への連絡等もしたり、家の掃除も自ら行なっており、その点からも関係性を立証していきました。
結果
結果として、鈴木さんは特別縁故者として認められ、吉川さんの遺産の3分の1以上に相当する財産を取得することができました。
弁護士からのコメント
弁護士に相談に来なければ、鈴木様は、吉川様の遺産を一切取得できませんでした。遺産を取得できることを知った鈴木様は、とても驚いていました。
特別縁故者の制度については、制度自体、一般の方も知らない場合が多く、さらに内縁関係でなかった人も利用できる場合があることは、さらに知らない方が多いと思われます。
万一、事実上の家族のような方が亡くなってしまった場合、特別縁故者の制度を利用すれば、相続人でなくても、遺産を取得できる可能性があります。
特別縁故者の制度は、時間もかかり、資料の準備等専門的な知識が求められますので、専門家にご相談ください。
※本事案は当事務所でお取り扱いした事案ですが関係者のプライバシー保護等に配慮し事案の趣旨を損なわない範囲で事実関係を一部変更している箇所がございますのでご了承ください。