調停の場合は相手方の住所地の家庭裁判所に管轄があります。訴訟の場合には、請求者などの地方裁判所に管轄があります。

1. 遺留分侵害額請求の調停の管轄について

相手方の住所地に管轄があります。

当事者が合意により管轄裁判所を決めた場合、合意により定められた家庭裁判所にも管轄があります。

2. 遺留分侵害額請求の訴訟の管轄について

相手方の住所地だけでなく、請求者の住所地にも管轄があります。遺留分侵害額請求は、金銭に関する請求であるためです。

当事者が合意により管轄裁判所を決めた場合、合意により定められた地方裁判所にも管轄があります。

遺留分侵害額請求の訴訟の場合には、管轄裁判所は家庭裁判所ではなく地方裁判所です。

3. いきなり訴訟を起こすことが可能か?

遺留分に関する事件は、調停前置主義により、訴訟を提起する前に、家庭裁判所の調停を経る必要があります。

4. 管轄によって労力が全く異なることがあります。

相続や遺留分に関するトラブルの場合、親族が遠方に居住しているということも多々あります。そのような場合、どこの裁判所で手続きができるのかで労力が全く異なってきます。たとえば、北海道と沖縄に住んでいる親族間での争いだとすると、裁判所に行くだけで1泊2日のスケジュールとなってしまいます。

管轄については当事者で合意すれば日本全国どこの裁判所でもできますので、管轄の点だけでも合意ができるのであれば合意をすることと試みるのもいいかもしれません。

また管轄裁判所の近くの弁護士に依頼するというのも一つの方法ですので検討してみることもよいかもしれません。

5. その他

弁護士に依頼する場合、管轄裁判所から遠い弁護士に依頼をすると、交通費や日当等の負担が発生し、思ったより高額の弁護士費用となってしまうこともあります。

遠方の裁判所での手続きについて依頼をする際には、事前に弁護士に費用について確認しておきましょう。

(監修者:弁護士 大澤一郎)