いろいろな進行方法があります。弁護士が代理人としてついている場合かどうかによっても、遺留分減殺請求の調停の進行方法は異なります。
1. 調停について
遺留分の減殺請求の調停は家庭裁判所に対して申立をします。
2. 管轄について
遺留分減殺請求の調停の管轄は、相手方の住所地の家庭裁判所です。訴訟の場合、自らの住所地の裁判所ですることが可能な場合もありますが、調停の場合、相手方の住所地の家庭裁判所となりますので注意が必要です。
3. 申立をすることができる人
遺留分権利者が調停申立をすることができます。
4. 調停申立に必要な書類
具体的な必要書類は各裁判所によって異なりますが、一般には以下の書類が必要と言われています。実際に申立をする場合には、申立をする裁判所に問い合わせをした方がよいかもしれません。
1. 戸籍関係
故人が出生してから死亡するまでの全ての戸籍が必要です。量が膨大になることもありますし、専門家でないとうまく取得ができないことも多いです。
2. 遺産関係
不動産であれば土地・建物の全部事項証明書、預金であれば預金通帳コピー、相続税の申告をしていれば相続税の申告書などが基礎的な資料です。手に入れることが不可能な資料については、申立の段階では提出は要求されません。
3. 遺留分減殺請求権を行使したことがわかる書面
内容証明郵便で遺留分減殺請求の意思表示をしたことがわかる書類及び相手に届いたことがわかる配達証明書が必要です。
5. その他
- 遺留分減殺請求権を行使した結果、特定の財産の○分の○の権利を有するという状態に法律上はなります。しかしながら、調停申立の段階では遺産の総額等がわからないことも多いことから、遺留分減殺請求の調停段階では、具体的な割合までは記載せずに、相続額の返還を求めるという内容で書類の記載上は足ります。
- 遺留分減殺請求の調停が不成立により終了になった場合、審判となることはなく、地方裁判所での民事訴訟によって争いを解決することとなります。
- 調停の場合、1か月~2か月に1回の割合で裁判所での話し合いが行われます。ご本人同士の場合には、双方別席で裁判所の調停委員が話を聞きながら調停案をまとめていくということが多いです。他方、双方弁護士が代理人になっている場合には、遺留分減殺請求の調停の場合、双方の弁護士が同席によりお互いの主張をしながら、裁判所の調停委員が調停案を出すという場合が多いです。
(監修者:弁護士 大澤一郎)