証拠を集めた上でまずは他の相続人と協議しましょう。その上で、合意できない場合には、裁判所に調停を申し立てたり、遺言無効確認の訴訟を起こしたりします。

証拠の重要性

遺言の無効を争う際には、まずは証拠を集めることが重要です。自筆証書遺言であれば検認の手続を裁判所でしているはずですので、他の相続人がコピーをくれなくても裁判所から遺言書のコピーを取り寄せすることが可能です。他には、遺言を作成した際の状況を確認するため、病院からカルテや看護記録を取り寄せすることが大切です。特に、看護記録にはご本人の具体的な言動等も記載されていることがありますので、重要な証拠が見つかることもあります。

自筆証書遺言の要件を満たしているかどうかを確認しましょう。
遺言書を取り寄せしたら、まずは、自筆証書の形式的な要件を確認しましょう。遺言書の全文を本人が書いているかどうか、作成の日付が記載されているかどうか、遺言者の氏名が記載されているかどうか、押印があるかどうかなどの要件を満たしているかどうか等です。

本人が作成したかどうかの判断基準について

自筆証書遺言の場合、遺言書があっても遺言書を本当に本人が作成したのかどうかが問題となることがあります。その場合には、裁判所では一般に、以下のような事情を考慮して判断します。(判例タイムズ1194号43頁以下から抜粋して引用)

  1. 遺言の内容(遺言者が以前にした遺言の内容との整合性、遺言者の従前の発言・意向との整合性、遺言者と相続人の関係の整合性、遺言の目的である財産内容との整合性等)
  2. 筆跡の類似性(他の本人が書いた書類との筆跡の類似性、偽造だと主張されている人の筆跡との類似性等)
  3. 筆跡の特徴(筆跡の乱れはあるか、複数の筆記具で書かれていないか等)
  4. 自書能力があったかどうか(遺言者の病状、添え手をされた形跡等)
  5. 作成可能性、偽造可能性はあるか
  6. 遺言者の言動、遺言が有効であると主張する人の言動はどうか
  7. 遺言書発見の経緯はどうか

遺言をする能力があるかどうか

遺言をする能力とは、遺言の内容や遺言をすることによる法的な結果を理解できる能力のことです。遺言をする能力がなければ、遺言書があったとしても遺言書は無効になります。ここで一番大切な証拠は病院の記録と医師の意見です。医師によって、お願いすれば意見を書いてくれる方と書いてくれない方がいますが、積極的にお願いをした方がよいと思います。

結論

遺言の無効を争う場合、有効か無効かという二者択一の判断になりがちですので紛争が長期化することが予想されます。そのため、証拠を集めた上でまずは他の相続人と協議することをお勧めします。また、別途遺留分の問題が発生する可能性がありますので、原則として遺言をした人がお亡くなりになってから1年以内には、内容証明郵便で遺留分減殺請求を念のためしておいた方がよいです。

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